幸せの道はいつくるのでしょう①からの続く:
●A子さん55歳、独身
A子さんは、B氏への想いを断ち切れないまま、結婚相談所に入会しました。
お相手の条件は、同年齢くらいで、学歴、年収や趣味まで、B氏そのものでした。
条件を聞いた相談員からは、条件に合う出会いはたいへん厳しいこと、
A子さんと同年齢の男性は子供が欲しいという希望が高いという現実を伝えられました。
特に、英語が堪能であることにこだわり、更にハードルが高くなりました。
「私だってB氏と結婚して子供を産みたかった。やっぱり私はB氏と結婚すれば良かった。
結婚を断ったのは間違えていました。入会してもB氏のような男性には巡り会えない…」と思いながらも、
相談所で紹介された方と、A子さんはお見合いをすることになりました。
お見合い1
最初のお見合いは、50歳代後半の公務員の方でした。
印象は穏やかで、口数が少ない人でしたが、趣味の山登りの楽しさを話す彼は生き生きとしていました。
最近登った山の写真を見せて、二人で山登りをしましょうと誘ってくれましたが、A子さんは登山に興味は持てませんでした。
英語は堪能でしたが、TOEICの点数がB氏より低いことを聞き、A子さんは断ってしまいました。
お見合い2
次にお会いしたのは、商社を定年退職していた方で、10年ほど前に奥様と死別されていました。
仕事上海外赴任の経験があり、知的でエネルギッシュ、英語も堪能でした。
「海外では毎日夜遅くまで働き詰めで、負担をかけたのか、妻が体調を崩し、妻だけ帰国しました。
忙しさが続く中、日本にいる妻のことが気になり一時帰国し、すぐに海外に戻るような生活でした。
そして、妻が緊急入院したと告げられて、慌てて帰国したものの、死に目に会うことができませんでした。」とのことでした。
定年後は夫婦でゆっくりとした時間を過ごしたいと考え、結婚相談所へ入会したそうです。
A子さんは亡くなられた奥さんへの想いが強すぎるとの理由で断りました。
A子さんにも強すぎるB氏への想いがあるにも関わらず、相手の気持ちを受け入れられませんでした。
お見合い3
その次は、子供がいる離婚歴のある方とお見合いしました。
自営業で収入もそれなりです。
A子さんは初婚で子供がいないことを希望していましたから、
難しいとは思いつつもお話だけでもと思い、会う決心をしました。
実直で、丁寧な話し方をされる方で、好感は持てました。
結婚は日々の現実の世界で暮らすことになるから、
最初からお互いの気持ちを確かめておきたいと、彼から様々な質問を受けました。
「今まで独身だったのは、結婚への理想が高いのか」「子どもと会うことを理解してくれるか」
「家計管理は自分がするが、いいか」「資格をもっているか」
「できれば働いて欲しいが、いいか」と実にストレートな質問でした。
A子さんが断る大きな要因となったのは、「できれば働いて欲しい」の一言に、
今無職の自分が彼の収入を目当てにしているように思われていると感じたからでした。
A子さんには、貯金や不動産などの資産があり、老後一人で暮らしていける余裕はありましたが、
その話をする気にもならず、会うことはなくなりました。
お見合い4
今回は、70歳代の母親と同居している方で、同居を希望されていました。
弟たちがいますが、それぞれ結婚していて、甥、姪も休日になると母親を慕って遊びに来るそうです。
家族はとても仲が良く、弟の嫁同士も助け合いながら生活をしています。
今回は初めてのお見合いで、家族にA子さんの写真を見せたら気立ての良さがあるし、
優しそうな人だと家族が勧めるので、ぜひお会いしたかったと誠実に話をしてくれました。
A子さんは一人っ子で両親とも高齢でしたから、
お相手の話す家族の雰囲気がすぐには理解できませんでしたが、憧れはあります。
大勢の家族に見守られ、助け合いながらの生活も楽しいのかもしれないと考えていました。
彼はたいへんな苦労もされたようで、
「そんなに贅沢はできないが、家族の絆が強いから苦労はしないと思う。ぜひ前向きに考えて欲しい」と言われました。
しかし、A子さんは自分の生育環境とのギャップがあることを理由に断りました。
A子さんは現在もお見合いを続けています。
しかし、B氏に対する執着は強く、良い話は聞けていません。
A子さんは、知的レベルが高く、知識は学習できます。
しかし、物事の悪い結果を他人のせいにするので、自己反省ができません。
自己反省ができないと、学習することができないのです。
学習ができないと日常の様々な経験がストレスになっていくことになります。
また、対人関係においては人の気持ちを察することがたいへん苦手です。
幼稚性のある思考で物事を判断し、自分を応援してくれる人に依存します。
このように現実的ではない思考はありますが、
A子さんにはチャーミングで憎めない一面があり、そこが魅力でもあるのです。